5月5日、米ニューヨークで開かれた国際シンポジウムで、拉致被害者の横田めぐみさんと一緒に納まった写真を示しながらスピーチする横田拓也さん(左)=2015年(共同)【拡大】
北朝鮮による拉致問題の解決に向けて国際的な協力を呼びかけた拉致被害者家族らの訪米で、横田めぐみさん(50)=拉致当時(13)=の弟、拓也さん(46)は5日、ニューヨークで開かれた政府主催のシンポジウムで、拉致によって奪われた家族の日常、その後の苦しみを切々と訴え、ひときわ大きな拍手を集めた。過去に何度も海外に渡って国際社会を動かし、北朝鮮に解決を迫る“武器”としてきた拉致被害者の家族たち。高齢化が進む中、若い世代の拓也さんがこれまでの活動を受け継ぎ、解決するまで決して諦めないとの強い意思を改めて国際社会に示した意味は大きい。
シンポジウム終了後、拓也さんは報道陣に対し、「こうした国際的な場を通じてわれわれの主張を言い続けることを(北朝鮮が)とても嫌っていることは事実で、圧力になることは間違いない。それを信じて言い続けていきます」と語った。
国際化に過敏反応
拓也さんの言葉通り、北朝鮮は国連で金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を国際刑事裁判所(ICC)を舞台として刑事訴追する動きが出た昨年から、拉致問題の国際化に過敏となっている。国連本部のあるニューヨークで開かれた今回のシンポジウムに対しても、北朝鮮の国連代表部が批判声明を出し、朝鮮中央通信は出席する山谷(やまたに)えり子拉致問題担当相(64)を口汚く非難する論評を配信した。