【京都うまいものめぐり】
京都・洛東の“隠れ里”なる老舗料亭「わらびの里」。900坪の日本庭園は四季折々の表情を見せ、流れ落ちる滝の音は心を洗われるすがすがしい気持ちにさせてくれる。数寄屋造りの座敷に運ばれる会席料理の献立それぞれには一手間を惜しまない繊細な技が施され、味覚の濃淡は食通たちをうならせる。
案内文に「牛尾山の麓(ふもと)、音羽川のせせらぎが響く閑静な地」とある通り、門をくぐると都会の喧噪(けんそう)とは無縁の別世界が広がる。
ソフトな舌触りとあっさり風味
落ち着いた和室に提供される会席料理。まず、先付はその日の朝に汲みあげられた湯葉に珍しいキノコの岩茸、ピリッと辛みを添えるワサビを混ぜ合わせて口に含む。湯葉はだししょうゆで味付けされ、味覚が混然一体となって広がる。
次に、前菜の皿には海の幸、山の幸が盛られ、見た目にも華やかで食欲をそそる。全長10センチの琵琶湖産の稚鮎(ちあゆ)には蓼(たで)のみそがかけられ、そのまま頭からがぶりと味わえる。