06年には、ダンスを踊る試作機を公開し世界中を驚かせた人型ロボット「QRIO(キュリオ)」からの全面撤退も決めた。
現経営陣は採算重視
現経営陣は中期計画で、電機の各事業の分社化を進め、採算を厳格にコントロールする方針を打ち出した。投資を絞り込むテレビとスマートフォンの事業は売却の可能性を否定していない。
平井氏は「引き続きOne Sony(ワン・ソニー)を合言葉に求心力を発揮していく」と訴える。だが分社化は、EVAによる利益管理の延長線上にある考え方だ。創業者の経営理念は置き去りにされたままだ。
ロボット事業を率いた元上席常務の土井利忠氏は、技術者が理想工場の理念の下に集い、心理学で言う「フロー状態」に入っていたことが、ソニー躍進の原動力だったと考えている。スポーツ選手が心身を限界まで使い、最高の結果をだした時に体験する「ゾーン」と同じ状態だ。
土井氏は現在、フロー状態をつくり出す経営理論を提唱し、数々の著書を出版している。参考になればと、平井氏に献本を続けているが「反応が返ってきたことはない」という。(SANKEI EXPRESS)