現在、対露包囲網の結成に腐心しているのが米国だ。北朝鮮は、中国から距離を置き、ロシアに接近しようとしている。北朝鮮の目的は、エネルギーと武器をロシアから得ることだ。米国としては、北朝鮮がロシアと接近することは好ましくないと考えている。このような状況下で、米国が水面下で北朝鮮に金第1書記訪露の中止を要請した場合、それに対する見返りが担保されるならば、北朝鮮がロシアと距離を置く選択を取ることは十分考えられる。なぜなら、金第1書記体制を維持するために、米国から「金王朝を解体しない」という保証を取りつけることが、北朝鮮外交の最優先課題だからだ。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)