キッズダンサーHIKARUが転校先の高校でクラスメートと意気投合しダンスを踊るシーン。左から4人目が主演のKoharu_Sugawara=2015年5月8日、東京都千代田区丸の内・東京国際フォーラム(田中幸美撮影)【拡大】
物語は英才教育を受けるキッズダンサー、HIKARUとステージママ、KAORUの愛憎劇だ。これはダンスシーンに限ったことでなく、学歴重視の社会や家業の継承などにもいえることで、牧さんは「自分の選択を越えた運命だけど、その先どう生きていくかは選択できるというメッセージを伝えたかった」と話す。
また、20代半ばにゲイであることをカミングアウトした牧さんは、思春期には自分だけ周りと違うと感じていたという。そして、「自分はお母さんの理想になれないかもしれない」という気持ちを持っていた。舞台の中で「うまくダンスが踊れなくてもありのままの私を愛してほしい」という主人公の悲痛な叫びは、「ゲイであってもありのまま愛してほしい」という自身の気持ちの表れかもしれないと話した。
舞台では音楽に特にこだわったという。劇中約20曲が流れるが、加藤ミリヤの書き下ろし以外はすべてオリジナルだ。牧さんは昨年から100曲以上を作曲。歌手がいないので、演奏だけのインストゥルメンタルになるのをなるべく避け、仲宗根梨乃さんが歌ったり、少年のダンスチーム「HATABOY」がラップをしたりとダンサーと一緒に音を作り上げた。