経済財政諮問会議で、あいさつする安倍晋三(しんぞう)首相。右は菅義偉(すが・よしひで)官房長官=2015年5月12日午後、首相官邸(共同)【拡大】
消費税は税率を1%上げると約2.7兆円の税収を確保できるとされる。例えば、消費税率を10%からさらに3%上げ、1.5兆円程度の歳出カットを行えば、「9.4兆円」の帳尻が合う。
ただ、こうした机上の計算には、消費税率の引き上げを実行する政治的な困難さは含まれていない。民主党政権はマニフェスト(政権公約)に約束していなかった消費税率の引き上げを決めたことで「ウソつき」の烙印(らくいん)を押され、政権の座を失う大きな要因となった。
民主党政権を倒した安倍政権も、昨年4月の消費税率の8%への引き上げによる景気減速に悩まされた。景気動向は政権の支持率に直結するため、首相としても敏感にならざるを得ない。いくら財政健全化に有効だからといって、消費税率を10%超にする“増税”を軽々に認めるわけにはいかないのだ。
首相は、今月12日の経済財政諮問会議で「経済再生なくして財政健全化はない。これが安倍内閣の経済財政運営の基本哲学だ」と述べ、財政健全化ありきの議論にくぎを刺した。あくまでも高い経済成長を目指して構造改革を断行し、その結果として税収増を狙うという基本姿勢を貫く考えを強調した。