「大阪都構想」の住民投票否決を受けた記者会見で政界引退を表明した橋下(はしもと)徹大阪市長=2015年5月17日夜、大阪市北区(門井聡撮影)【拡大】
翻って、足下の自民党はどうか。昨年暮れの衆院解散・総選挙で大勝した同党は、国会議員の数では圧倒的に多い「1強」状態だ。しかし、各議員が党総裁である首相の理念をどれだけ共有しているかは怪しい。
橋下氏が「証人喚問したらいい」と求めていた河野談話の主である河野氏の国会招致は、同氏が党総裁・衆院議長経験者であることへの配慮なのか、いまだ実現していない。最近は党内で河野談話の見直しが話題になることもない。
河野氏の長男の河野太郎衆院議員(52)は今月7日の衆院憲法審査会で「自民党の憲法改正草案が理想的な法案では決してないと思っている議員が少なからず自民党の中にいる」と主張した。自民党は憲法改正を党是とし、各党に改憲を呼び掛けているが、これでは説得力もあったものではない。
「ハト派」を自任する宏池会(こうちかい、岸田派)の武井俊輔衆院議員(40)ら若手は7日、「過去を学び、分厚い保守政治を目指す若手議員の会」を結成した。設立趣意書によると、「一部にみられるような修正主義的な過剰なナショナリズムを排し、広範な保守政治を構築する」という。谷垣禎一(さだかず)幹事長(70)は設立にあたり激励のメッセージを届け、お墨付きを与えた。