5月22日、米ニューヨークの国連本部で開かれたNPT(核拡散防止条約)再検討会議の全体会合。スクリーン中央に映し出されているのはタウス・フェルキ議長=2015年(共同)【拡大】
「70年談話」念頭に牽制
「歴史の歪曲だ」「日本は戦争の被害者の立場を強調している」-。核兵器の惨禍を世界に訴えようと、「被爆地訪問」実現を求めた日本側に対し、中国の傅聡軍縮大使が今月中旬、「過去」を持ち出して日本を批判したことは、議場の各国代表団を驚かせた。
今年は中国にとり、「抗日戦争と反ファシズム戦争勝利70周年」。今夏に安倍晋三首相(60)が戦後70年談話を出すことも念頭に置いた牽制(けんせい)だったとはいえ、日本には予期せぬ“冷や水”となった。
最終文書採択は全会一致が原則だ。「被爆地訪問」への支持は着実に広がり、日本は20日、中国と少なくとも2回交渉を行ったが「立ちはだかる壁」(外交筋)を前に、対処のしようがなかったという。
一方、最終文書案の内容をめぐっては、核保有国と非核保有国との対立が解消されないままだ。