照ノ富士(右)が寄り切りで碧山(あおいやま)を下す。結びの一番で白鵬(左奥)が敗れ、初優勝を果たした=2015年5月24日、東京都墨田区・両国国技館(共同)【拡大】
支度部屋に戻り、兄弟子の日馬富士が白鵬と仕切りを重ねる姿をテレビで見て「何とか勝ってもらいたい」と祈った。願いはかない、優勝決定戦にもつれることもなく、初の賜杯とその先にある大関昇進を手中に収めた。
白鵬を破って13勝した先場所に続き、地力を示した15日間だった。下位への2敗は、自ら墓穴を掘った内容で力負けには映らなかった。右、左にこだわらない四つ身の型は脅威的で琴奨菊、稀勢の里らを難なく撃破した。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「引っ張り込む相撲が少なくなった。しっかり腰を下ろして相撲を取っている」と弟子の成長に目を細める。残り腰にも目を見張るものがあり、北の湖理事長(元横綱)は「一歩二歩は下がるが、三歩は下がらない」と評価した。
いまの3横綱3大関はみな20代後半から30代前半で同世代。平成生まれの23歳、照ノ富士には新時代の盟主としての期待がかかる。独走を続けてきた白鵬の1強時代に終止符を打つ存在へと成長できるか。「これからもっと頑張らなければいけない」と決意を語った。(藤原翔/SANKEI EXPRESS)