中東呼吸器症候群(MERS)を警戒してマスクをする医療関係者=2015年6月2日、韓国・首都ソウル(AP)【拡大】
院内感染を広げた韓国の対応には不満も聞こえる。日本の国立感染症研究所と韓国の担当機関の間には情報共有の取り決めがあるが、「どんな病院なのかも分からない」(厚労省担当者)のが現状だ。ある専門家は「これから先に院内感染が起きたら非難に値する。(2003年に大流行した)新型肺炎(SARS)での教訓を生かした中国の方がしっかりしている」と指摘した。
国内では中東地域からの入国者に、発熱やせきの症状があったり、現地で患者の体液などに触れた恐れがあったりする場合、医療機関が保健所に連絡することになっている。これに韓国を含めるかどうかは、厚労省が今後の感染の広がりをみてから決める方針だ。
水際の検査態勢整備
中国広東省で韓国人の感染者が確認されたのを受け、中国当局は空港などでの検疫態勢を強化。SARS禍の“再現”を水際で防ぎ止めたい考えだ。韓国人感染者の経由地となった香港の衛生当局も、ソウル便の乗客に発熱などの症状があった場合、強制的に医療機関で検査する措置を開始した。