思いもしない病に
そんな彼女に思いもしなかった問題が生じたのは今から5年ほど前のことです。物忘れがひどいことを気にしていた彼女を無理やり病院に連れていくと、検査の結果、若年性アルツハイマーと診断されてしまったのです。彼女が病と向き合うまで時間もかかったし、自暴自棄にならないように姉と私と彼女の3人で何度も話しましたが、少しずつ記憶を失っていく友人を見ているのは本当につらかった…。3年前から専門の施設に入り、今では自分が病気であることも認識できていません。
1日に100回以上の彼女の電話に応答し続けていましたが、少しわが家の生活にも支障をきたしはじめました。先生に相談したところ、週1回の外出許可を出してくれました。そこで水曜の12時にわが家の誰かがナディーンを施設に迎えに行き、ランチを食べながらたわいもない話をしたり、お化粧をしたり、髪をセットしたりしながら時間を過ごし、5時にはすっかりきれいになったナディーンを施設に送り届けることにしました。それ以来、彼女はわが家の「水曜日の訪問者」となったのです。