「低密度超音速減速機(LDSD)」のテスト機をのぞき込むこのプロジェクト責任者のマーク・アドラー氏(左)。新開発の「超音速パラシュート」がうまく起動するかが実験の大きなポイントになる=2015年5月28日、米ハワイ州カウアイ島(NASA/Bill_Ingalls)【拡大】
その着陸を成功させる重要な技術が超音速パラシュート。しかし、昨年6月に同じハワイで行った初実験では、上空まで計画通り上昇したものの、降下の際にパラシュートがうまく開かず、欧米メディアは事実上の失敗との論調で伝えた。
NASAのジェット推進研究所(カリフォルニア州パサデナ)で今回のプロジェクトの責任者を務めるマーク・アドラー氏は「今回の実験は、新開発の超音速パラシュートが正しく作動するかどうかが最大の問題だ」と強調した。
5トン分の積載可能
NASAの宇宙技術ミッション理事会のスティーブ・ジャージック理事は米FOXニュース(電子版)に「LDSDの技術があれば、火星に5トン分の探査機や機器を下ろすことができ、より高機能のロボット探査が可能になる」と予想。「火星のサンプルを地球に持ち帰るための採取車も現地で使えるようになる」と期待を寄せた。
3回目の実験は来夏の予定。人類は火星への有人飛行に向け、着実に駒を進めている。(SANKEI EXPRESS)