一方で、東京が招致段階でアピールした「選手第一のコンパクトな計画」の理念は置き去りにされた。バスケットボール、バドミントン、セーリングは江東区の施設新設が中止となり、それぞれさいたま市、東京都調布市、神奈川県藤沢市江の島に移った。中央区晴海の選手村から半径8キロ圏内に会場の85%を置く当初の計画から8競技の会場が圏外に去り、招致関係者は「(国際的に)空手形を切る結果となり、残念」と話す。
注目度低下に不安
広域開催は運営面にも課題を残す。選手は移動の負担が増し、警備態勢の拡充も求められる。江の島は首都圏でも指折りの海水浴場で、藤沢市の鈴木恒夫市長は「交通渋滞が課題」と認めた。
競技団体には集客や注目度の低下への懸念も根強い。計画変更で「嘘をつかれたも同然」(日本バドミントン協会幹部)「組織委や都には不信感しかない」(日本バスケットボール協会関係者)との声もある。開催準備で連携が必要な競技団体との間にしこりが残り、日本オリンピック委員会(JOC)のある理事は「出だしからこんな状況で心配」と嘆く。