記者会見する東京海上ホールディングスの永野毅(つよし)社長=2015年6月10日午後、東京都千代田区(共同)【拡大】
東京都内で記者会見した東京海上HDの永野毅社長は「HCC社は専門性の高い事業を多数手掛けており、収益が安定している」と説明。「国内と国外の事業が支え合う構造をつくりたい」とも強調し、大規模な自然災害で保険金の支払いが膨らむリスクなどに対応するため、海外でのさらなるM&Aに意欲を示した。
東京海上HDが保険事業で稼ぐ利益に占める海外の比率は15年度予想で38%だが、HCC社の事業を単純合算すると46%になる。
≪生損保、海外展開の成否が生き残りの鍵に≫
東京海上HDが、約9400億円という巨額の資金を投じて米保険大手を買収するのは、人口減少で国内市場は成長が期待できないためだ。他の国内金融大手も海外で大型買収や出資を加速させており、海外展開の成否が生き残りの鍵を握る時代が到来した。
東京海上HDは2008年と12年にも欧米で複数の保険会社を買収しており、損害保険の中で海外進出に最も積極的だ。
生命保険では、第一生命保険が米中堅プロテクティブ生命を約5750億円で買収。売上高に当たる保険料等収入で第一生命に業界首位の座を奪われた日本生命保険も巻き返しに向け、大型買収を狙っている。