汚職事件に揺れる国際サッカー連盟(FIFA)の出資で製作されたフランス映画「United Passions(ユナイテッド・パッションズ)」が何かと話題だ。事件で辞任表明を余儀なくされたゼップ・ブラッター会長(79)自らも監修したというこの映画は今月5日から全米10カ所で公開されたが、あまりにも“自画自賛”的な内容が酷評され、劇場では“閑古鳥”が鳴いている。
28億円を出資
映画は制作費約2350万ユーロ(約32億9000万円)のうち、FIFAが約2000万ユーロ(約28億円)を出資。2つの世界大戦をかいくぐった111年間のFIFAの歴史を慈善団体的な側面に焦点を当て、約1時間半にわたって描いている。昨年、欧州で公開され、米国ではタイミング悪く、FIFAの現職副会長らが米司法当局に起訴された翌週に公開された。
映画には、収賄などFIFA内の暗部をほのめかすシーンもあり、英国の有名俳優、ティム・ロスさん(54)が演じるブラッター会長が再選されて喜ぶ場面のほか、幹部会議で汚職の噂が絶えない“腐ったリンゴ”(FIFA幹部)たちに「これからはルールに従って動いてもらう」と、厳粛な面持ちで宣言する場面が出てくる。