避難住民の帰還促進や、賠償から事業再建支援への転換が柱。地元では帰還への環境は整っていないと不満の声もあり、被害の実態に応じた丁寧な対応が求められる。
安倍晋三首相(60)は官邸で開かれた原子力災害対策本部会議で「避難指示解除が実現できるよう環境整備を加速し、地域の将来像を速やかに具体化する」と述べた。
居住制限区域など両区域の人口は計約5万4800人で避難指示区域全体の約7割を占めるが、生活基盤や放射線による健康被害への不安は根強く、避難指示が解除されても帰還が進むかは不透明だ。
東電による「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」の住民への月10万円の精神的損害賠償(慰謝料)支払いは17年度末で一律終了する。16年度末より前に避難指示が解除された場合も17年度末まで支払い、解除時期で受取額に差が生じないようにする。既に避難指示が解除された地域にも適用する。
一方、第1原発に近く依然、放射線量が高い「帰還困難区域」の解除時期は明示しなかった。(SANKEI EXPRESS)