アジアインフラ投資銀行設立協定の署名式で、記念写真に納まる中国の習近平国家主席(前列中央)と創設メンバー国の代表ら=2015年6月29日、中国・首都北京市西城区の人民大会堂(ロイター)【拡大】
中国財政省が29日に公表したAIIB設立協定によると、最大出資国の中国は資本金1000億ドルのうち、約29.8%の297億8000万ドルを拠出する。以下インド8.4%、ロシア6.5%。ドイツ4.5%と続く。中国の議決権は出資比率よりやや下がって26.06%だが、増資や新規出資国の承認など重要事項の決定には全体の75%以上の賛成が必要となり、中国は単独で「拒否権」を握る。
中国が自らの意思を反映できる国際金融機関の創設に動いたのは、世銀やADBの融資に不満を抱いたからだ。ADBなどは、融資案件に環境評価や人権保護などで厳格な基準を突き付ける。柔軟性や迅速性に欠けるとの中国の批判に、アジアや中東などの創設メンバー国も同調した。
AIIBは12人の非常駐の理事が電子メールなどで連絡を取り合う持ち回り会議でスピーディーな意思決定を売りにする。だが、北京に本部を置き、初代総裁も自国から出す中国の発言権が強まるのは明白だ。国際金融機関の名のもとで、習近平指導部の意向を受け、軍事転用も可能な空港や港湾の建設などにも簡単に融資されるリスクがある。