アジアインフラ投資銀行設立協定の署名式で、記念写真に納まる中国の習近平国家主席(前列中央)と創設メンバー国の代表ら=2015年6月29日、中国・首都北京市西城区の人民大会堂(ロイター)【拡大】
また途上国が、審査の手軽なAIIBに資金支援を求めてなびく懸念もある。ある経済アナリストは「世銀やADBを既存の大手航空会社とすれば、AIIBは安全運航経験のない新参の格安航空会社(LCC)」と指摘した。安易な融資が焦げ付けば不良債権の山を生む恐れがある。
国内の個人消費や輸出が低迷する中国にとって、AIIB経由のインフラ投信で、鉄鋼製品や建設機械などの国内在庫が解消し、収益も上がる仕組みは理想的だ。しかし国際金融機関としての透明性や公平性は見えにくい。
日本政府も「不明な点が多い」(政府高官)として当面は距離を置く立場を維持する構えだ。独自にアジアのインフラ整備拡充を図り、日本の技術力を生かす「質の高いインフラ投資」による貢献を目指す。昨年11月から4度の利下げに踏み切るなど中国経済の先行き懸念も重なり、政府内には「中国は問題を抱えながら走っている」と冷ややかな声も漏れる。