「アップル・ミュージック」の発表会で抱き合うアップルCEO(最高経営責任者)のティム・クック氏(右)と、ビーツの共同創業者、ジミー・アイオヴィン氏=2015年6月8日、米カリフォルニア州サンフランシスコ(AP)【拡大】
流行発信は人の手から
アップル・ミュージックでは、利用者が聴いた曲の履歴に基づき好みの曲をお薦めする機能を備えている。ライバルのスポティファイなど他のネット配信サービスは単にコンピューターの数式(アルゴリズム)でお薦め曲を選んでいるのに対し、アップルは音楽誌の編集者がピックアップしたリストからも選曲しているのが特徴だ。
アップルは、音楽の流行を作り出すのは、最新のテクノロジーではなく、あくまでDJや編集者といった“人間”であり、音楽ファンを増やすには、ラジオが最適なメディアだと考えているようだ。
「人間のDJが世界中の人々に届ける楽曲をスマートフォンで聴くというモバイル時代にリメークされた流行遅れのスタイル」。米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は、こんな皮肉的な表現で、ビーツ1の意味合いを評価する記事を掲載した。
1960年代に米国で初めてヒットチャート番組を生み出した伝説的なラジオ編成者、リック・スクラー氏もBBC放送で、“ラジオの復活”をこう喜んだ。
「芸術と科学が融合したものが偉大なラジオだと信じており、アップル・ミュージックは私の心にあるこの考えの表れである」(SANKEI EXPRESS)