7月6日、ギリシャの首都アテネの銀行に入ろうとして、行員(左)と言い争いになる年金受給者=2015年(ロイター)【拡大】
「ドイツの政治家はギリシャを破壊に導こうとしている」。低所得者が多いアテネのセポヤ地区。国民投票に反対票を投じた年金受給者のハリストフェ・ペトロさん(64)は息巻いた。
戦後補償で確執
欧州一の経済力を誇り、EUの屋台骨を支えるドイツ。ペトロさんら反対派の国民にとっては、緊縮財政を押し付ける「元凶」だ。年金や社会保障費の減額など厳しさを増すギリシャの市民生活。特に若年層の失業率は約50%とEU域内最悪で、鬱積した不満は豊かなドイツに向けられる。
アテネ中心部のシンタグマ広場で、反対派の男性銀行員(42)は「ドイツの振る舞いは欧州の皇帝のようだ。ギリシャ経済回復の時間的余裕を与えてほしい」と吐き捨てるように言った。
両国の確執は第二次大戦中にギリシャを占領したナチス・ドイツの歴史問題にも及ぶ。反対派の中には当時の抵抗組織の流れをくむグループもあり、ギリシャのチプラス政権は1月の就任直後、占領に伴う損害賠償を求める考えを示唆し、ドイツ政府は反発で応じた。