世の中の景気は「良くなっている」そうだ。しかし、新聞業界で働いている身でありながら、まったく実感はない。悪くなってはいないものの、危機感のみがある。だから、国の経済対策による交付金で全国の自治体で発行される「プレミアム商品券」なるものも、当初は「そんな所にお金を使ってどうするんだ。直接、国民にくれ」と、うさん臭い目で見ていた。
「プレミアム商品券」は地元で購入価格を上回る買い物ができる事業で、東京都内のわが家がある区でも発行されるという。無関心を決め込んでいたが、ある朝、「きょうから先行予約」のチラシを見て「2万円分くらい申し込むか」と思い立ち、ミーハー精神で近所の商店街の先行予約ができる店に向かった。
普段は仕事が終わる深夜にしか買い物ができないため、近所の商店街に足を向けることはない。新鮮な気持ちで足を踏み入れると、「もうないよ。向かいの和菓子屋さんに聞いてみたら」。これまた初めて入る、まだ開店準備中の和菓子屋さんではおじいさんが申し訳なさそうに「今なくなっちゃった。ごめんね。向こうの理髪店はどうだろう」と言う。