新興5カ国によるBRICs首脳会議に臨むウラジーミル・プーチン露大統領。訪日を実現し、G8(主要8カ国)への復帰を狙っているようにもみえる=2015年7月9日、ロシア連邦・バシコルトスタン共和国ウファ(ロイター)【拡大】
ロビー活動が不可欠
北方領土問題で日本がクレムリンに直接アプローチして、パトルシェフ安全保障会議書記やセルゲイ・イワノフ大統領府長官ら、ロシア外務省の意思を覆すことができるプーチン氏側近を通じた権力中枢へのロビー活動が不可欠になる。NSC(国家安全保障会議)谷内正太郎事務局長には、その役割が期待されているのであろう。
歴代の日本政権をみていると、権力基盤が弱体化し始めると、外交で得点を稼ごうと考える。そのとき選ばれるのが北朝鮮かロシアだ。安倍政権の支持率も下がり始めている。日朝関係が劇的に改善する可能性は低い。このような状況で、安倍政権には、対ロシア外交での得点の可能性が実態よりも大きく見えているのかもしれない。不安を覚える。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)