また、高度なテクニックのスキャットを駆使して、まるで熟練の名歌手のようなたたずまいを見せるのもユニーク。このまま成長すればどんな大物になってしまうのか、末恐ろしくなるほどの実力派である。
熱意伝わる演奏
もう1枚紹介したいディスクは、「プレイング・レクオーナ」。これは、3人のピアニストが、キューバの名作曲家、エルネスト・レクオーナの楽曲を演奏するというドキュメンタリー映画のサントラだ。3人のうち、チューチョ・バルデスとゴンサロ・ルバルカバはキューバというよりも、現代のジャズシーンを代表するといってもいい世界的なピアニスト(もう一人はドミニカ共和国出身のミシェル・カミロ)。
ソロやトリオ編成、または名歌手、オマーラ・ポルトゥオンドを招くなど、さまざまなスタイルでレクオーナの名曲を披露する。自国の音楽に敬意を表してルーツを忘れない姿勢は、キューバのミュージシャンの基本といってもいいだろう。
時代を超えた名曲を、次世代に届けようとする熱意が伝わる見事な演奏ばかりが集められている。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)