栃煌山(とちおうざん、奥)がはたき込みで琴奨菊を破る=2015年7月15日、愛知県名古屋市中区の愛知県体育館(山田喜貴撮影)【拡大】
1年前は心も体もどん底だった。関脇だった名古屋場所は左肩を痛め、途中休場。腕を吊って、何もできない失意の日々。目にしたテレビが映し出していたのは、同級生で高校時代からの宿敵豪栄道が大関へ昇進する場面だった。「ほんと悔しかったっすね」。稽古場に降り、痛みをこらえ手を使わずに四股を踏み始めたのはその頃だった。
翌場所は11勝し、一気に幕内上位へ復帰。少しずつ体は回復し「今場所は久しぶりに痛いところがない。しっかり稽古できた」と満足げに語る。
角界随一の馬力の持ち主だけに、本調子に戻ればこの位置でも二桁勝つ実力はある。いまは「しっかり自分の相撲をとれば勝てる」と自信たっぷりだ。
5日目に当たる照ノ富士には過去4戦全敗。三役常連の地位を抜け出し、目指す大関の座へ近付くため、栃煌山にとって力試しの一番となる。(藤原翔/SANKEI EXPRESS)