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【佐藤優の地球を斬る】危険なイラン合意 1年で核武装可能 (3/3ページ)

2015.7.18 09:00

イラン核開発問題の合意を受けた記念撮影の舞台から立ち去る米国のジョン・ケリー国務長官=2015年7月14日、オーストリア・首都ウィーン(ロイター)

イラン核開発問題の合意を受けた記念撮影の舞台から立ち去る米国のジョン・ケリー国務長官=2015年7月14日、オーストリア・首都ウィーン(ロイター)【拡大】

  • 作家、元外務省主任分析官の佐藤優(まさる)さん=2014年3月20日、東京都新宿区(大里直也撮影)

 呼び起こされる帝国の歴史

 イスラエルが懸念しているのは、イランの核開発だけではない。16日、東京を訪れたイスラエルの専門家が筆者にこう述べた。

 「これで欧米諸国の制裁が解除されるならば、イラン経済は活性化する。その結果、イランはレバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権、イエメンのフーシー派などシーア派への軍事を含む支援を強化する。イスラム教スンニ派に属する『イスラム国』(IS)が、イラクとシリアの一部地域を実効支配した後、中東では、スンニ派とシーア派の宗派間対立が強まっている。米国は、IS対策でイランとの協力を考えている。そのため核開発問題でイランに対する姿勢を軟化させたが、その結果、中東情勢は一層不安定になる。

 イランの帝国主義的な拡張戦略に刺激されて、トルコが核武装を試みるとともに、周辺諸国への影響力拡大を図るであろう。今回の合意が引き金となって、イランではペルシア帝国、トルコではオスマン帝国の歴史を呼び起こすであろう」

 このイスラエル人専門家の見方は、事柄の本質をよくついていると思う。宗教や歴史の記憶という定量化されない要因で、中東の構造変化が起きている。高度なインテリジェンス分析が必要になる。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

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