東芝本社が入るビル。かつてはおっとりした社風だったが、ここ3代の社長で利益至上主義がはびこるようになったとされる=2010年3月、東京都港区(共同)【拡大】
不適切な会計処理の背景には、佐々木、田中両氏の2代の社長が月例の報告会やメールなどで幹部に厳しく予算の達成を迫り、会計や業務に問題がないかチェックする「監査委員会」(委員長・久保誠元副社長)などによる内部監査も機能していなかったことなども明らかになった。
不適切会計をめぐっては、営業利益の減額修正に伴い、工場や設備の収益性が下がることになるため、東芝の最終利益での減額修正は総額で1000億円超となる可能性もある。
≪行き過ぎた利益至上主義 経営陣の対立も≫
不適切会計問題を生んだ背景には、行き過ぎた「利益至上主義」と、経営陣の対立があったとされる。
第三者委は5月から調査を始め、数百人の関係者から聞き取りを行ってきた。
その過程で、複数の関係者から、当時の社長だった佐々木則夫副会長が月例の報告会で部下に無理に利益を上げるよう指示していたとの証言を得た。また、田中久雄社長が部下に対し、利益のかさ上げを指示していたメールも確認したという。その結果、経営トップが各事業部に圧力をかけ、部下が不適切な会計処理を知りながら行っていた構図があったと認定することに至ったようだ。