東芝本社が入るビル。かつてはおっとりした社風だったが、ここ3代の社長で利益至上主義がはびこるようになったとされる=2010年3月、東京都港区(共同)【拡大】
佐々木、田中両氏が利益至上主義に走ったのは、西田厚聡(あつとし)相談役(71)の存在があったとしている。東芝の関係者は「佐々木氏が社長に就任した時期から不適切な会計処理が横行していた」と証言している。佐々木副会長は2009年6月、リーマン・ショックで大幅赤字を計上した西田氏の後任社長に就任した。会長に就いた西田氏は、赤字からの脱却に向けて佐々木氏に業績向上を強く求め、経営への不満を公然と口にしていた。
これに佐々木氏は反発。同時に西田氏に批判されないだけの実績を残そうと、現場への圧力を強めていった。さらに11年3月に東日本大震災が発生し、主力事業の原発が止まり、業績向上の圧力を一段とかけるようになったという。
佐々木氏の後任になった田中氏は、西田氏寄りといわれてきた。田中氏は、西田氏の意に沿おうとする形で、高い経営目標を掲げ、現場への圧力を強めた。やることは結局、佐々木氏と同じだった。こういう背景から、社内には、佐々木、田中両氏だけでなく、西田氏の責任を問う声も上がっている。