一方、田中久雄社長(64)も部下に「全世界からの撤退を考えざるを得ない。脅かしではない」「あらゆる手段を使って黒字にしなければならない」などと叱責。これらの発言は「虚偽記載を指示したとまでは認定できない」と説明した。
経営陣の責任触れず
安冨潔・慶応大名誉教授(刑事法)は企業の外部監査制度の限界に言及。監査法人は厳しい競争にさらされ、企業の立場が圧倒的に強い。徹底的な監査はできず、実際に「不適正」との意見はほとんどないという。
東芝は社内に社外取締役らによる監査委員会を設けていたが、安冨氏は「仕組みがあっても人が動かなければ意味のないことが露呈した。東芝が再生するには、顧客や株主などステークホルダー(利害関係者)による厳しい監視が重要だ」と強調した。
企業のコンプライアンスに詳しい山口利昭弁護士は、報告書が「調査は東芝の依頼で、東芝のためだけに行われた」と明記した点に着目。構造的な欠陥に光を当てたもので、経営陣の法的責任には触れていないと指摘する。