経済財政諮問会議で挨拶する安倍晋三(しんぞう)首相(左から2人目)=2015年7月22日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
17年4月の消費税率引き上げによる駆け込み需要も経済成長率を押し上げる見通しだ。
≪政府目標となお乖離 遠い黒字化の道≫
22日の経済財政諮問会議で示された中長期試算では、政府が財政健全化計画で掲げた2020年度の国と地方のPB黒字化は反映されず、目標達成に向けた道のりの厳しさが改めて浮き彫りとなった格好だ。政府は「あらゆる政策を通じて、目標達成を目指す」(政府関係者)方針だが、「黒字化達成への道筋があいまいだ」との指摘もくすぶる。
今回の試算では、経済再生ケースにおける20年度のPB赤字は、従来試算と比べて歳出で1兆8000億円、歳入で1兆4000億円と計3兆2000億円の圧縮を実現した。だがPB黒字化にはまだほど遠い。18年度のPB赤字幅もGDP比で1.7%と、政府目標の1%程度とは差がある。
報道陣から財政健全化計画との齟齬を指摘された政府関係者は、「(PB黒字化の)旗を降ろしたわけではない。達成は十分可能だ」との釈明に終始した。政府は骨太方針や新たな成長戦略で示した方向性について「16年度の数値では反映させた」と説明する。