経済財政諮問会議で挨拶する安倍晋三(しんぞう)首相(左から2人目)=2015年7月22日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
ただ、経済再生ケースで改善が見込まれる国・地方の債務残高の対GDP比については、「低金利に相当助けられている」(内閣府)のが実情だ。日銀の異次元緩和の「出口」が意識されれば、金利が上昇し、国債の利払いが財政を圧迫する恐れもある。政府の青写真は、大きく崩れる危険性もはらんでいる。
諮問会議は今後、財政健全化計画の進捗(しんちょく)をチェックする専門調査会を新設し、歳出改革の数値目標を設定するなど、PB黒字化に不退転の決意で臨む考えだ。ただ、甘利明(あまり・あきら)経済再生相は20年まで「消費税率を10%超とすることはない」とも述べており、政府が取り得る選択肢は限られる。目標達成には曲折が予想される。(SANKEI EXPRESS)
■基礎的財政収支 財政の健全度を示す指標で、プライマリーバランスとも呼ばれる。社会保障や公共事業など政策に必要となる経費を、新たな借金に頼らず税収などの基本的な収入でどの程度賄えているかを示す。政府は国と地方を合わせた収支を2020年度に黒字にすることを目指している。小泉政権時代には11年度までに黒字化する目標を掲げたが、達成できなかった。