≪豊かな自然 力強い「生」はぐくむ≫
蘭嶼(らんしょ)島には6つの村があり、その中の野銀村では今もタオ族の伝統的な生活が大切に守られ、バウイと呼ばれる床面を掘り下げた半地下式の家屋が並んでいる。半地下なのは、暴風から住居を守るためで、「台風銀座」とも形容されるこの地域ならではの生活の知恵だ。
歩いて村を回っていると一人の老人がにこやかに手を振ってくれた。曽那野さん(83)で、家の中に招き入れ、昔の写真を懐かしそうに見せてくれた。曽さんの家は3つの建物から成り、2つは半地下で、もう1つは高床式で海からの風が心地よく通る。母屋にはテレビや冷蔵庫などの家電製品があり、天井部分にはさまざまな道具類が収納されていた。
春から夏にかけては島民の貴重な食料で名産となっているトビウオの漁が盛んで、漁を終えた人々が天日干しの作業をしていた。漁へはタオ族の印がついた伝統的な舟「チヌリクラン」が使われ、浜辺には次の漁を待つかのように数隻が並んでいた。