5月17日、台北市内の国民党本部で、署名簿が入った箱を背に、総統選候補を決める予備選への届け出書類を掲げる洪秀柱氏。洪氏は当初、届け出に必要な署名が集まるかさえ危ぶむ声があった=2015年、台湾(田中靖人撮影)【拡大】
【国際情勢分析】
台湾で来年1月に行われる総統選で、与党、中国国民党は、洪秀柱(こう・しゅうちゅう)立法院副院長(国会副議長に相当)=(67)=を候補者に内定した。当初、泡沫候補と見られていた洪氏が、「結党120年」を誇る“大政党”の候補者になる過程は、まさに「ひょうたんから駒」。その原因は、有力者らが党内政局を意識しすぎ、「行き違いが生じた」(中国時報)ためだとみられている。
「捨て石」に判官びいき
国民党は17日の中央常務委員会で、7月19日の党大会に洪氏を総統選候補者として提案する人事案を可決した。洪氏は党が12、13の両日実施した世論調査で46.2%の支持率を獲得し、指名条件の30%を超えていた。世論調査は、単純支持率と野党、民主進歩党(民進党)の候補者、蔡英文(さい・えいぶん)主席(58)との比較の2種類で行い、調査会社3社の平均値を取ったものだ。
洪氏は4月3日、予備選への出馬を正式表明した。党が昨年11月末の統一地方選での惨敗の影響を引きずる中、「捨て石」として有力者の決断を促すのが狙いだとされた。その言動の激しさから「小唐辛子」の異名を持つ洪氏は、自分の出馬で「玉(宝石)」を引き出し、「玉の中からヒスイを選ぶのが一番良い」とさえ話していた。