5月17日、台北市内の国民党本部で、署名簿が入った箱を背に、総統選候補を決める予備選への届け出書類を掲げる洪秀柱氏。洪氏は当初、届け出に必要な署名が集まるかさえ危ぶむ声があった=2015年、台湾(田中靖人撮影)【拡大】
だが、当時有力とされた朱立倫(しゅ・りつりん)主席(54)は度重なる不出馬発言が曖昧すぎて本心と認識されず、それに引きずられて王金平(おう・きんぺい)立法院長(国会議長)=(74)=や呉敦義(ご・とんぎ)副総統(67)の態度表明も、予備選の届け出締め切り直前までずれ込んだ。
特に王氏の場合、締め切り前日の5月15日に不出馬を表明したものの、泡沫候補の洪氏が予備選を通過するとは思わず、党本部による「徴召(強制指名)」方式で、チャンスが再び巡ってくると踏んでいた節がある。その証拠に、王氏は予備選最終段階の6月7日、党から指名されれば「断れるはずがない」と発言している。
届け出時にボランティアの若者しか駆けつけず、「市議レベル以下」とも評された洪氏だったが、世論調査の結果は支持率46.2%と予想を大きく上回った。一部には、洪氏が候補者になった方が蔡氏が有利だと考えた民進党支持者が、調査に「支持」と答えたと見る向きもある。だが、党本部が洪氏の政見発表会の開催を拒否するなど「妨害」とも取れる動きを見せたことで、かえって有権者に判官びいきの感情を呼び起こしたと見る方が正しそうだ。