強まるイスラム内対立
核開発以外にも問題がある。制裁が解除され、イランが本格的に石油、天然ガスを輸出し、潤沢な外貨を得るようになると、イランはシリアのアサド政権、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシー派、アフガニスタンのハリリ派などへの軍事援助を強化する。イランは、シーア派によるイスラム世界革命という構想を放棄していない。その結果、「イスラム国」(IS)、アルカイダなどとの軋轢(あつれき)が強まる。
シーア派とスンニ派の内ゲバが、世界的規模で一層激しくなる。このことが、両派のテロを激化させる。米国のオバマ大統領の近視眼的なイラン懐柔策が国際秩序を大きく混乱させつつある。日本の企業や個人が過度なリスクを負い被害を被る危険性を避けるためには、イランとのビジネスに関与しないことが最善策と思う。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)