「21世紀構想懇談会」の西室泰三(にしむろ・たいぞう)座長(中央左)から報告書を受け取る安倍晋三(しんぞう)首相。右端は菅義偉(すが・よしひで)官房長官。左端は北岡伸一(しんいち)座長代理=2015年8月6日、首相官邸(共同)【拡大】
一方、先の大戦をめぐっては「満州事変以降、大陸への侵略を拡大」と明記した。ただ「侵略」の表現を使うことには、注釈で「複数の委員より異議がある旨表明があった」と言及し、反対意見に配慮した。今後取るべき施策では、世界の研究者による歴史共同研究や沖縄の基地負担軽減などを列挙した。
≪安保で役割拡大 にじむ首相への配慮≫
「21世紀構想懇談会」が作成した報告書は、安全保障分野での役割拡大を提起するなど、安全保障関連法案の成立を目指す首相への配慮をにじませた。先の大戦をめぐり日本の「侵略」を明記する一方、侵略の定義について国際社会が完全には一致していないと記述。首相の持論に寄り添う姿勢も示した。
懇談会メンバーは学者、経済人、報道関係者など多岐にわたるが、最終的な取りまとめは日本の近現代史や国際関係に詳しい北岡伸一座長代理(67)=国際大学長=が中心的に担ったとされる。
報告書は1930年代以降の日本の歩みについて「政府、軍の指導者の責任は誠に重い」と当時の指導層を指弾。歴史認識に関し日本の責任を明確化したものの、談話で「おわび」を盛り込む必要性には触れなかった。おわび表現に否定的な首相の意向を踏まえた形だ。