日系企業に打撃
元安進行は、現地で事業展開する日系企業には打撃となる。中国で稼いだ利益の円換算額が目減りするからだ。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは、11日の元切り下げだけで、自動車を含む「輸送機械」で経常利益が146億円、商社など「卸売業」も92億円下振れする可能性があると試算した。中国市場の「行く末はそれほど明るくないのではないか」(日本自動車工業会の池史彦会長)と弱気な見方が出ている。
12日の東京株式市場では、「爆買い」が衰える懸念から、百貨店のJ.フロントリテイリングや化粧品の資生堂などの株価が大幅下落した。
「いったん元安に傾いた相場が、どこまで下落していくのか」(上海の市場関係者)。国内景気を重視する中国政府が、元安容認の姿勢を続けるとの見方は強い。
通貨競争に火か
輸出競争力を高める中国に対抗し、他の新興国でも通貨安を誘導する動きが出てきた。ベトナムの中央銀行は12日、通貨ドンの対ドルでの変動幅を拡大し、事実上のドン安誘導策を実施した。日本の市場関係者は「各国の通貨安競争を見込んで、投機筋が売りを仕掛ける可能性がある」と指摘している。(SANKEI EXPRESS)