中国は11日に、昨年11月以来3度目となる政策金利引き下げに踏み切った。中国景気の不振が背景だが、この利下げは景気にはほとんど効かず、手詰まりになった中国の党指令型経済を象徴している。
経済の常識では、不況に陥った国は利下げなど金融緩和により内需を刺激すると同時に、利下げによって誘導される自国通貨安によって輸出をてこ入れする。中国の場合、積極的に利下げしているが、当局は人民元の対ドル・レートを安くするどころか、逆に上昇させている。通貨高は経済を緊縮させるのだから、利下げで景気を刺激しながら、為替政策で冷や水をかけるという、まことに奇妙な政策をとっていることになる。
「世界一」内実は外貨窮乏
金融市場が自由化されていれば、市場原理が働く。外為市場では利下げと同時に人民元が売られて相場が下落するのだが、当局が介入して外為相場をコントロールする「管理変動相場制」の中国はあえて元相場を引き上げる。
なぜ、市場原理に逆らった為替操作を行うのか。