経済の産物である「借金」を、少し上品に呼べば「債務」となり、「金融」とは「債務」のやり取りのことだ。その取引を行う場を「金融市場」と言う。お札とは中央銀行が発行する無期限無返済無保証の永久債務証書、国債は政府の期限付き債務証券、株式は企業による無期限債務証券、社債は期限付き債務証券である。
アングロサクソン(米国と英国)は基軸通貨ドル建て中心の金融市場を支配してきた。米国は戦後、産業競争力が低下し、日本などに圧倒されるようになると、1971年8月15日にドルと金のリンクを断ち切り、ドルを無制限に発行できる仕組みに変えた。ドルが金の束縛から開放されることは、すなわち金融市場の膨張を意味した。ニューヨークとロンドン主導のグローバル金融資本主義モデルはこうして生まれた。
他方で、米国の自動車などの産業競争力は日本などに押されっぱなしで、雇用や賃金水準の低下が進む。そこで、ワシントンは80年代から90年代にかけて、盛んに日本たたきを行ったが成果は出ない。90年代半ばのIT革命は産業全体の雇用・賃金の底上げに結びつかない。そんな中、2001年9月11日の同時中枢テロが起きた。家計消費が7割を占めるアメリカ経済を何とか支えてきた金融市場の中心がテロ攻撃に遭い、大きく揺れた。そこで当時のブッシュ政権が目をつけたのが住宅市場である。