金融市場の「からくり」
金融のからくりを使って家計による借金消費を容易にさせる。そのための規制緩和は、クリントン前民主党政権当時、ウォール街出身のルービン財務長官が実行した。低所得者向けの「サブプライムローン」の証券化商品も登場して住宅相場が上がる。銀行は値上がった分を前貸ししてくれるので、消費者は喜んで消費にふける。
この仕掛けは、住宅相場が下がり出すと破綻した。サブプライム危機、リーマンショックと続く。大恐慌になるのを防ぐ手段はただ一つ。連邦準備制度理事会(FRB)がカネ(永久無返済債務証書)を刷って金融市場に流し込んで、株価を引き上げてきた。それでも回復力は鈍いまま現在に至る。家計が債務を増やさないことには、消費が活気づかない。
中国の経済モデルは借金による投資主導型である。家計消費は国内総生産(GDP)の35%程度で、米国の7割の半分の水準でしかないが、固定資産投資は約5割もある(日米は2割前後)。経済を高度成長させるためには投資を増やせばよいわけで、リーマンショック後は、共産党の指令によって国有商業銀行が不動産開発資金を国有企業や地方政府に融資してきた。国内資金で足りない分は国有銀行や企業が海外の銀行からの借り入れで間に合わせる。