政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会であいさつする安倍晋三(しんぞう)首相(右から2人目)=2015年7月31日、首相官邸(共同)【拡大】
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の支配下にある朝鮮学校に高校授業料無償化を求める動きが活発化し、政府が動向を注視している。安倍晋三政権は北朝鮮による拉致問題に進展がないことや朝鮮総連と密接な関係であることを理由に無償化を見送ってきた。だが、朝鮮学校支援者らが、参院で審議中の人種差別撤廃施策推進法案を利用し、無償化を拒絶する政府方針を特定の人種や民族への憎悪をあおるヘイトスピーチと同一視しようとしているのだ。
進展ない拉致問題が障壁に
下村博文(しもむら・はくぶん)文部科学相は2012年12月の記者会見で、朝鮮学校に無償化を適用しない方針を表明した。理由については「拉致問題に進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、国民の理解が得られない」と説明。適用基準をこのとき初めて明らかにした。
一方、安倍首相は今年7月31日、「政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会」を官邸で開き、北朝鮮が同月2日に拉致被害者らの再調査報告延期を伝えてきたことについて「誠に遺憾だ」と強調した。結局、遅々として進展しない日朝交渉が朝鮮学校に対する無償化への道を遠ざけてもいるのだ。