もう30年くらい前のことになるが、レアグルーブという言葉が生まれたことをご存じだろうか。これは、過小評価されていたり、全くの無名だった古い音源を、今の時代に新鮮に聴かせ、踊らせたりするという、DJの手法でありムーブメントだった。過去の音楽を未来の音楽へ。価値観を変えてしまうおもしろさは、そのままヒップホップやジャズなどとも密接にリンクして、今もなお続いている。最近もレアグルーブの最新版といえる音源が立て続けに発表されたので、今回はそんな2組を紹介しよう。
こだわりの音色
まずは、スカイマークという奇妙な名前を持つブラジル人アーティスト。リオデジャネイロを拠点とするDJであり、プロデューサーとしても国内外のさまざまなアーティストを手掛けている。彼は1960年代から80年代のジャズ、ソウル、ブラジル音楽などに影響を受け、自らキーボードを特訓。ミュージシャンとしても2013年にアルバムデビューした。
最新作の「ウェイブズ・フロム・ザ・ニュークリアス」を聴けば分かるとおり、彼の音楽は1970年代のフュージョンを思わせるメロウな仕上がり。とくにエレクトリックピアノの響きは、聴いているだけでタイムスリップしそうなほど、音色にもこだわっている。