何度かこの連載でも紹介しているブラジル音楽。この国の音楽シーンに触れるたびに思うのは、伝統やローカル性を大切にしながら、常に新しいチャレンジをしているんだなあ、ということ。サンバやボサノバといった定番のジャンルも、進化し続けているのだから面白い。当然その背景には、続々と登場する若い才能がある。今回は、未来のブラジル音楽シーンを担うと思われる2人を紹介しておこう。
意表を突く音遣い
今、最も注目を集めるクリエーターとして、ジオゴ・シュトラウスの名前は外せない。2000年にロックバンドのメンバーとしてデビューするが、プロデューサーとしての才能を発揮。とくに、エレクトロなどのクラブ・ミュージック・シーンでは、一躍売れっ子のサウンドクリエーターやリミキサーとして評価を得た。
そして、満を持して発表したアルバムが「スペクトラム・ボリューム・ワン」だ。一聴するだけで異色作であることが分かるだろう。これまでにかかわってきたミュージシャンを中心に多くのゲストを迎え、あえてチープなシンセを使ったり、逆にフォークロアな雰囲気のアコースティックテイストだったりと、とにかく意表を突いたサウンドが次から次へと飛び出してくる。ハチャメチャなように見せかけながら、随所にジオゴらしいエッセンスをふりかけ、統一感のある作品に仕上げている。