硬派な作風は新人離れしているようにも思える。「当たり前のことを当たり前に書いても、誰も満足させられません。トリッキーな部分と硬派な部分のバランスには苦労しました」
本書が繰り返し問いかけるのは、「ルール」と「モラル(道徳)」の違いだ。「道徳とルールは必ずしも一致しないのでは、という漠然とした思いが着想のきっかけです。例えば、ニュースを見ていても、『こんなことで裁判を起こすなんて』と思うようなこともある。ルール的には正しいのだけれど、モラル的には疑問を持たざるを得ない。逆に、モラルを破ってもルール違反でなければデメリットはないのに、なぜモラルを守るのか。かなり大きいテーマに挑戦してしまいました(笑)」
方針転換しリベンジ
大阪の芸術大学で映像を学んだ。卒業後は「3年ぐらい何もしなかった。いつか何者かになれるだろうと信じ込んで、フラフラしていたんです」。だが、アルバイトをクビになったことをきっかけに、執筆を開始。「お金もないし、やることもないし…。書いてみよう、と」