2008年12月26日、海賊対策のため、ソマリア沖へ向けて中国・海南島の三亜を出港する中国海軍艦艇。この時から今日まで800回以上の任務を遂行し、13年12月以降だけで、攻撃型原潜や通常型潜水艦、潜水艦救難艦が最低各1回随伴した(新華社=AP)【拡大】
ハリウッド映画上はともかく、今どきの海賊は損得しか考えぬ。インド洋上のモルディブで14年12月、海水淡水化施設が火災に遭い断水に陥ったときのこと。淡水化装置を有す中国潜水艦救難艦が対海賊任務を中断、来援したのは支援要請2日後だった。大量の飲料水を積む空軍の大型輸送機や民間機も次々に到着。迅速な給水・資金支援に国際社会は目を疑った。同時に、中国外務省報道官の「モルディブ国民の危機をわが身のことのように感じ(略)親・誠・恵・容という中国の外交政策を明示した」とのコメントに、少なからず関係者は白けた。インド国防関係者も、伝統的に担保してきたモルディブの安全保障を切り崩している、中国の野望を憂う。借款+外務省庁舎・国立博物館建設などは全て、軍事協定締結と潜水艦基地建設を求める“中国の善意”だった。
中国外務省報道官は「中国と周辺諸国は運命共同体」だとも説明したが、小欄には「周辺諸国の運命は中国が握っている」と響く。はるか遠方のモルディブが「周辺諸国」と認定するズレた感覚にも中華帝国の「鎧」を見る。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)