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【逍遥の児】風船爆弾を目撃した男 (1/2ページ)

2015.8.25 09:30

 風船爆弾。先の大戦で日本軍が開発した秘密兵器だ。構想は壮大だった。直径10メートルの巨大な気球に爆弾を装着。冬季に吹く偏西風に乗せて太平洋を横断。米国本土を攻撃する。千葉県一宮町に風船爆弾打ち上げ基地があったという。現地へ行ってみよう。JR外房線の列車で房総半島を南下。上総一ノ宮駅で下車した。

 風船爆弾を目撃した男がいる。長谷川英美さん(89)。事前に電話連絡。真っすぐ、自宅に向かった。冷たい麦茶をいただく。取材を始めた。

 1944(昭和19)年12月。よく晴れた寒い朝。若き教師だった長谷川さんは千葉市内の学校に通勤するため、家を出た。歩いて2、3分。七島踏切の前。奇妙な気球を目撃した。

 「海岸の松林の上空にクラゲのような形の気球が、ふあっと浮かんでいるんです。風に吹かれ、横になり、斜めになり、よろよろと上昇していく」

 やがて気球は直立。満球となってぐんぐん高度を上げ、冬空に消えた。

 予兆があった。戦局が悪化した1944年。鉄道部隊の兵士が突如、一宮に現れた。上総一ノ宮駅から海岸に向け、引き込み線のレールを敷いた。目的は秘密だった。

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