雲の行方=東京都西多摩郡奥多摩町(野村成次撮影)【拡大】
奥多摩は谷間の街だ。すり鉢の底から見上げているような感じで、高く登れば別だが、空の広がりを撮る場所を見つけるのに苦労する。ある夏の日に空を見ようと、東京都奥多摩町の海沢(うなさわ)谷から、山道を登った。猛烈に暑い日だった。たちまちペットボトルの水はからっぽで、ヒーヒー言いながらたどり着いた小高い峰からは、多摩川上流の谷が見下ろせる。JR青梅線が走っている。
奥多摩の山の尾根筋が続いて、雲が広がっていた。空気が澄んでいるから、遠くもきれいに見える。こんな日はそんなにあるものではない。
雲に乗りたくなった。手を上げたら●(=角の右に力)斗雲がやってきた。「どちらまで?」「とりあえず、冷たいビールの買えるコンビニまで!」(野村成次、写真も/SANKEI EXPRESS)
■のむら・せいじ 1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。