株価を示すボードの前で頭を抱える男性。上海株が下げ止まらない=2015年8月25日、中国・山東省青島市(AP)【拡大】
≪米国動揺 来月利上げ先送りの観測≫
中国が緊急利下げに踏み切った。世界的株安のきっかけとなった上海株の急落は25日も続き、事態を沈静化させるため窮余の策を打ち出した。ただ、株価下支え策を連発して当局が上昇を演出してきた「官製相場」への不信感は根強く、利下げの効果は見通せない。世界経済の動揺が続く中、9月にも実施されるとみられていた米国の利上げが、先送りされる可能性も出てきた。
場当たり的対応裏目
「今年の株価上昇分がすべて吹き飛んだ」。上海市場の投資家の大半は個人とされる。8月25日午後、上海市場の株価指数が、心理的に大きな節目とされてきた3000を割り込むと、パニック的に売りが加速。インターネットには、値下がりを嘆く投資家の発言があふれた。前日に「中国経済は安定している」との声明を発表した政府への不信が渦巻く。
経済の減速にもかかわらず、上海市場の株価は昨年秋から今年6月まで上昇が続いていた。相場の過熱を恐れた政府が6月中旬に一転して取引の規制を強めると株価は急落。あわてた当局は、中央銀行による利下げに加え、政府系金融機関を通じた資金供給などの株価対策を打ち出した。だが、場当たり的な対応に投資家の不信は逆に増幅し、値下がりに歯止めは掛かっていない。