中国の実体経済の回復の兆しは見えず、「チャイナリスク」はくすぶり続けている=2015年9月1日、中国・首都北京市の自動車工場(ロイター)【拡大】
≪金融緩和効果薄く「中国ショック」再燃の恐れ≫
東京株式市場で株価の下落が止まらない。1日発表された中国の景気指標の悪化や上海株の下落が響き、いったん沈静化した「中国ショック」が再燃する恐れが出てきた。中国当局による再三の金融緩和も効果は乏しい。貿易、投資で中国への依存を強めている日本や東南アジア諸国は、事態収拾に頭を悩ませている。
財務相のいら立ち
「私から中国経済について発言したい」。麻生太郎財務相(74)は1日の記者会見冒頭、4日からトルコで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議で、中国問題を取り上げると明言した。「表面的な市場の動きにとらわれることなく、中国の構造的な課題を見極めるのが重要だ」。麻生氏の発言には中国へのいら立ちがにじんだ。
中国は日本にとって最大の貿易相手国で、訪日旅行者は2014年に約240万人、旅行消費額は5583億円に達する。中国経済の失速は、日本企業の業績悪化を投資家に連想させる。
1日発表された中国の景況感を示す8月のPMIは3年ぶりの低水準となり、上海株も一時急落した。東京株式市場でも「不安が不安を呼んで一気に値下がりした」(市場関係者)。