中国の実体経済の回復の兆しは見えず、「チャイナリスク」はくすぶり続けている=2015年9月1日、中国・首都北京市の自動車工場(ロイター)【拡大】
揺れる東南アジア
中国は昨年秋からの計5回の金融緩和で景気を下支えしようとしてきたが、株価下落は食い止められない。資金を供給しても「大手銀行が不良債権の増加を恐れて、中小企業への融資に慎重な姿勢を崩していない」(北京の金融筋)ためだ。
「中国が風邪をひいたら、東南アジアは寝込んでしまう」。トヨタ自動車アジア・中近東本部の本部長を務める棚田京一常務役員はこう警戒する。中国経済の失速が響き、今年1~6月の東南アジア主要6カ国の自動車市場は前年同期に比べ約6%縮小した。
1993年からの20年で、東南アジア諸国連合(ASEAN)から中国への輸出は約33倍に拡大した。「中国経済の停滞は各国の雇用、設備投資に直結する」と日系証券会社の幹部は指摘する。