アジア太平洋地域の12カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉がようやく合意に達した。
安倍晋三政権にとって、日本の安全保障強化とデフレ経済からの脱却は2つの大きな政策目標。集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法の成立で日米同盟強化を図った。TPPは中国を牽制(けんせい)する巨大経済圏の構築をも意味する。
そして、TPPは経済の構造改革・成長戦略が足踏みしている現状を打開し、アベノミクスを成功に導くために欠かせない必須条件であった。
今回のTPP合意によって貿易関税が撤廃されたり引き下げられたりする。国ごとに違っていた投資ルールも統一される。これによって、域内市場での日本企業の活動の自由度が格段に増すことが期待される。
農協などの反発で農業分野への打撃が取り沙汰される傾向にあるが、牛肉・豚肉、ワインなどの関税が下がることで消費者への恩恵は大きい。